木刀、木製武器の手入れ
ニス仕上げ、油磨き仕上げ、保管、修繕について
木刀や杖、短刀などの木製武器の手入れと、それらを最適な状態で保管することは、木製武器を扱うにあたりとても重要なことです。一番の理由は、武道具としての安全性を保ち、湿度や温度変化に起因することからくる木製武器の歪みや損傷を避けるためです。(しかしながら、歪んでしまった武器を修復することができるのも事実です。後ほど紹介します。)今日は、木刀・木製武器の日々の手入れについて少しお話ししたいと思います。
安全性
剣道の稽古では、怪我や事故防止のために武器(とりわけ、竹刀)の手入れをかかさずにするよう、武器の安全性について日頃から教えられることが多い一方、合気道はじめ他の武道においては、木刀の扱い方や普段の手入れ方法など教わる機会はあまりありません。毎年、手入れのしていない粗悪な木製武器による怪我や事故が絶えないのも事実です。
まず、ささくれがある木刀や杖は使用してはいけません。そのような場合には、紙やすりなどで磨き、油を塗布する必要があります。もし、木刀や杖などの木製武器にヒビや割れ目のような欠陥が見つかった場合には、すぐに新しいものへ交換する必要があります。ヒビや割れ目の修復は大変難しいためです。ニスや乾燥(木材内部)の問題など、ひと目見ただけでは分からない場合も多く、木製武器をチェックする際には細心の注意が必要です。また、歪んでしまった木製武器でも特に問題はないのですが、木材の老朽化のサインであることもあるため、気をつけなければなりません。当然、形稽古の場合は、稽古中に破損する危険性はわずかですが、打ち合いなどの稽古をする場合には、ヒビや割れ目のある木刀や木製武器は、絶対に使用してはいけません。木材の痛みによる問題ではなく、その木製武器を使用する人間自身の技術的な問題で武器が破損したりすることがあるのであれば、それは、特に危険なことです。木製武器を使う武道家として、常に正しい使い方を心がけ、最善の注意をするようにしたいものです。
木刀、木製武器の手入れ方法
ニス仕上げの木刀、木製武器
ニス仕上げの木製武器の場合、定期的な手入れは特に必要ありません。一般的に国産の木製武器に塗布されているニスは、とても薄づきで無色です。湿気から木材を守り、歪みを避け、木表面の凸凹や小さな穴をふさぐ役割を果たしています。しかし、何年か使用していくにつれ、ニスが徐々に剥がれ、木を保護する役割はなくなっていきます。その場合には、使用頻度や使われている木材の質にもよりますが、再び紙やすりで表面をやすり、油磨きをする必要があるでしょう。状態がかなり悪い場合には、上記を2,3回繰り返しましょう。紙やすりで磨き、油を塗布することは、傷つけられた木繊維を削りとり、木の内部にまで栄養分を与える効果があります。ただし、繰り返し行う際、油を塗布した後で再度、紙やすりをかけようとすると少し難しく感じられるかもしれませんが、それは、油磨きをしたことで木が強固になっている証です。特に問題ではありません。
また、海外製の安価な木製武器には注意が必要です。それらはたいていニス仕上げが一般的ですが、質の悪い木材に有色ニスが厚塗りされていることが多く、たとえ紙やすりで磨き、油磨きをしたとしても、もともとの木材が良質なものでない限り、いい状態に戻すことは難しいでしょう。
ニス無し仕上げの木刀、木製武器
ニス無しの木製武器の場合は、歪みや木が痛むことを防ぐために定期的なお手入れが必要です。当店では、月に一度、植物性油で磨くことをお勧めしています。(当店で販売している手入れ用の椿油は、都城の工房で使用しているものと同じものです。)椿油やオリーブ油など、植物性のものであれば同じ効果ですので、お好みでご使用下さい。また、どれくらい油を塗布するかですが、1~3回くらいを10分置きくらいつつ木材の様子を見ながら行いましょう。全体的に油磨きをした後に油が木に吸収されるのを待ちながら、最後、油を吸収しなくなるまでが望ましいです。最後に余分な油は拭き取り、そのまま寝かせながら数時間乾燥させてください。
木刀、木製武器の保管
木刀や木製武器は、湿度や乾燥の影響を大変受けやすいため、通気のよい部屋で必ず横置きで保管するようにしてください。湿度と温度は、地表からの高さによってそれぞれ数値が微妙に異なります。木繊維は吸湿性があり、湿度の変化で水分を含んで膨張したり、または吐き出して収縮をするため、この膨張・収縮がバランスよくされれば歪みの発生は起きません。ですが、縦置きで長時間保管をしてしまった場合、湿度と温度は地表からの高さによって異なるため、木製武器の先端と地面側が同環境でなくなることから、武器の一部分だけ歪んだりしてしまう原因になります。(もちろん、上記のような湿度と温度に気をつけ、横で寝かせて保管をしていたとしても、縦置きよりかは格段に歪みは抑えることができますが、実際には木材の部分部分で膨張・収縮の度合いが違うため、完全に吸湿性を遮断しない限りはどうしても膨張・収縮を止めることもできず、木も生き物のため歪みを完全になくすのは難しいです。)
実は、両手や皮から分泌される皮脂が付着する柄部分は、刀身と比べて、皮脂の油分によって木が保護されているため、刀身のほうが歪みやすい傾向もあります。もし、お店に木製武器を購入しにいく機会があれば、是非、それら木刀、木製武器の保管の仕方もご覧になってみるといいでしょう。たとえ、日本国内であっても、木製武器の繊細な特性を無視した保管をしているお店では、歪んでしまった木製武器を時々見かけます。
また、配送にも注意が必要です。例え、木刀、木製武器を横置きの状態でトラックに荷積みされたとしても、荷台が炎天下にさらされるようなことがあってはそれも問題です。数時間であっても急激な温度上昇は、木材を傷め、曲がりやすくなる原因となります。
木刀・木製武器の修繕
ヒビの入った木刀や木製武器は安全上の理由から、絶対に稽古で使用してはいけません。木材に浅い割れ目がある場合には、軽く紙やすりでやすりがけをすることで修繕でき、大きな問題になることはありません。また、少しだけ曲がってしまった木製武器も熱を少し加え得ることでまっすぐに戻すこともできます。曲がってしまっている部分の反対側から火をあてて、木繊維が収縮されることでまっすぐに戻すことができるのです。この方法は一見、簡単そうな方法に見えますが、やはり実際に行う上では、木の特性をよく知っている必要があるでしょう。もし、木材の扱いに慣れていない場合には、自分で行うことはお勧めできません。たいてい家具職人などは日常的に行う作業になるので、もし、近くにそのような工房や職人さんがいるお店があるようでしたら、お願いしてみてみるといいでしょう。ものの5分もせずに修繕してくれると思います。
星道の木刀、木製武器へのこだわり
私達は、木刀やその他、木製武器を作り上げる日本の職人に対して敬意を表すると同時に、木製武器そのものに対してもこだわりと情熱をもっています
当店では、大きく分けて三度の検品を経て、木刀、木製武器はお客様のもとへ発送される流れとなっています。まず、都城の工房から木刀、木製武器がショップに納品された段階で、最初の検品が行われます。見た目の状態はどうか、まっすぐかどうかを一本一本、丁寧に確認します。勿論、同じ商品であっても木という特性上、一本一本、木目や色味は異なりますし(本来はそれが木の良さですが)、目に見える大きな問題(歪みやひび割れ)などを除いては、あくまでも商品として販売することに問題ないかどうかを意識しながら検品をしています。納品時の検品が終わると、極力、湿度・温度の変化が抑えられた部屋にある木刀、木製武器のストック置き場に横向きで寝かせて保管されます。そして、注文が入り、ストック置き場から木刀、木製武器が再び取り出されるときに、二度めの検品が行われます。そして、最後は出荷準備のため梱包をする時です。
ニスなし仕上げの木刀、木製武器は、配送時の不安定な温度状態でも耐えられるよう、出荷前には三度の油磨きを行っています。どんなにいい状態で保管をしていても、配送期間は木製武器を運ぶ上で極力、短い期間にしたいものです。海外配送の場合には、船便などの長期輸送には適応しないため、最短で届く航空便で一日でも早くお客様の手元へお届けできるよう配慮しています。
11 コメント - 木刀、木製武器の手入れ
Dear Seido,
I have just used your invaluable tutorial to sand and oil both of my (now especially precious) bokuto.
One is a Yagyu style in red oak purchased almost 40 years ago and the other is Katori Shinto Ryu in white oak obtained when I visited the late Otake Sensei 18 years ago.
As I was working on them, I noticed that both have the same maker’s mark on the butt end of the tsuka – the outline of an 8 petal flower containing a large cross (+).
I wondered if you would be kind enough to tell me which manufacturer this represents?
Many thanks in advance!
Simon
Domo Arigato! That was a great explanation on wooden weapon’s maintenance! It was most informative and useful!
Hi Tim,
Yes, indeed, it should lie flat.
Now, it can be flat into a weapon bag, in a room with not too much humidity, and that’s good.
So weapons should lie flat on there side on a flat surface? Like on a table or in some sort of case off the ground? I want to make sure my bokkens last a long time so I can hand them down to my boys.
@Tan
The varnish is a clear non glossy urethane varnish. Very classic.
@Edgar
For such request, please drop us an email with the presentation of the website you would like to publish the article on. We’ll get back to you within 24h.
Hello everybody, Iam Edgar Montoya, I ask your permission to Translate your articles in a Facebook Group of martial arts named “ninjas & samurái cultura oriental en habla hispana” we have more than 24 thousand members, the First idea is about all english text in English Translate to spanish for the people, what do you think? Thank you.
I have an uncoated weapon and is wondering if I should use lacquer or varnish and if I should get glossy or satin kind? please give me some advice thank you!
hi, may I know what kind of finish( e.g. glossy, satin, semi-gloss…)is used for the varnish?
Ola, pergunta: estou lendo que também se usa verniz em alguns acabamentos. O verniz nao atrapalha na pegada da arma? Eu uso oleo de tungue, ou cera incolor, nunca uso verniz, pois pode grudar demais a mao no tsuka. É correto o que falo?
Hi Yung,
There’s only one thing to do: sandpaper!
You should be able to clean it up with a #400 or a #250 grain.
You’ll then have to chose between revarnishing (you’ll find urethan based varnish spray in any DIY store), or oiling it.
How would you remove paint stains on an unvarnished bokken? We did attacker/defender drills and my partner had a bokken that was painted black. Now mine has black stains all over the blade where we made contact.